◆ コトリ、とカップが置かれる音が響く。 それで何となく顔を上げると、困ったように笑う垂れ目の彼と目が合った。彼の手元には、珈琲のカップ。 まだ冬だな、と感じる寒い部屋。悲しい、所だ。 「俺は久遠輔(くどう たすく)。宜しくね。」 「は、はあ…――城崎、明津(しろさき あくつ)です。」 お互いに名乗った。 お互いに宜しくする気配はないけど。 だって、輔さん…あの綺麗な男の人に言い使われてこうしてるんだろうし。“普通の女”に礼儀をやってるだけだと分かる。