「厄介だな……」

犯人が二重人格の場合、罪に問われない可能性が出てしまう。

だが今厄介なのは、そこではない。

「それがですね……本当の名前は初乃咲萌、梓さんの彼女さんらしいんス」

「生きてたのか!?」

白城先輩は目を見開いて俺の肩を掴んだ。

「あ……いや、だとすると、真犯人は……」

俺を見つめる目は否定してくれと言っている。

「彼女は……拳銃を所持しています」

それは俺なりの肯定の意だった。

拳銃を所持していると知り、白城先輩は梓さんの安否を心配して、二階を見透かす様に天井を見上げる。