「あいつも来てるんですか?」 「えぇ。さっきまで、そこに座ってましたよ」 そう言って僕の座っている隣の椅子に視線を移す。 「戻ってきたら、ビックリするだろうな。あ、ノンアルコールでお願いします」 「かしこまりました」 マスターはノンアルコールカクテルを作り始めた。 『ヒツキちゃん。戻って来たよ』 『あら、お兄さん。もう会えないと思ったわ』 2人の会話に耳を澄ます。 聞き慣れた火茂瀬の声と、何処かで聞いた事ある声。