青年が矢を最大限に引いた。

一瞬、青年の震えが止まり、定まった矛先。

そして放たれた矢。

青年は右手を放したのだ。

『んんんーッ!!!』

矢は吸い寄せられる様に、真っ直ぐ私に向かって飛んできた。

『ごめんなさいッごめんなさいッ』

最期に聞いたのは青年の涙声と矢が額に突き刺さる音だった。