男は花壇に寄り掛かり、片膝を立てて座っていた。

『……本当か?』

『こんな身形じゃ信用に欠けるが、本当だ』

そう言う男は血液の染み込んだクタクタのスーツに傷だらけの肌、頭から血を流し脳が露出していた。

よく見ると右足首と地面が錆びた鎖で繋がっていた。

『自殺したのか、おっさん』

自殺者は鎖で体と地面を繋がれ、自殺をした場所から動けなくなる。

成仏なんて出来ないし、地獄にすら逝く事が許されない。

輪廻を許されない苦しみを、己を殺した者たちは味わい続けるのだ。

俺は子供の頃から色々な霊を見てきたから、男を見て一瞬で解った。

『俺はこっから動けないから、ずっと犯人を見てたよ』