本音を言えば珍しく風邪で弱っていたから、会いたくてしょうがなかったんだけど。 台所からの音がボーッとした頭に入ってくる。 包丁のリズムが心地良い。 あぁ、何とも言えない幸せ。 『お粥作ったよー。これ食べて。薬は買って来たから、それ飲んで寝なね?』 何から何まですみません。 『ありがと』 お盆に乗せて持って来てくれたのは、ネギがたっぷり入ったお粥だった。 『生卵入れる?』 ベッドに腰掛けたみゆきが白い卵を見せた。