「お前がここ好きっていう訳、なんか分かった気がするよ。」


「え?」


「ここのコーナーだけ他とは別の空間みたいに落ち着いてるから。」


「うん。ゴテゴテしてなくていいよね。」


「絵描きはこのブタが好きなのか?」



さっきまでつついていたブタの鼻先を、今度はマジメくんがつついている。



「確かに可愛いかもな。」


「うん。」


「じゃあこのぬいぐるみは…」



マジメくんが人形を持ち上げると、ブタのつぶらな瞳がこちらを向く。



「竹刀のプレゼントに決定!」



ズキッ

いたたたた

なんだこれ

なんだこれ

マジメくんの笑顔が直視できなくて



「そ、そうだね!可愛いし竹刀絶対喜ぶし!」



顔はみれないのに口だけは達者になって



「お手頃価格だしいい買い物って感じ!」



ブタの目ばかり見ていた。