蒸し暑い空気のはずなのに、なぜか冷たい。


寒い……。


「もう知らない。別れる」

「え…?わ、別れるなんて言わないでよ……」

「今からもう俺ら付き合ってないから。遥とでも付き合えば?」

「違うよ……違うから!あたしが好きなのは…」

「嘘なんて聞きたくない」


バタン………


音楽室から出てってしまった蒼空くん。


あたし……あたしを大切にしてくれた人に嫌な思いさせてフラれた…。


「どうしよう……。蒼空くん…ごめんなさいっ…」


もう、ここにいない蒼空くんに謝っても意味ないよね。


あたしのことずっと信じてくれてたのに、あたしが裏切った………


謝っても許してくれないはず…。


あたしの恋は自分でメチャクチャにした。


窓から射し込む日の光で、ピンキーリングが悲しく光る。