桜音を先に風呂に入れてから、俺が入った。
一緒に入る?なんて冗談で言ってみたら耳まで真っ赤にして泣きそうになっちゃったし…。
風呂から上がってベッドに座りまったりテレビを観てると、あることが思い浮かんだ。
桜音の家族のこと。
「なぁー桜音。正月くらい実家帰れよ」
「……嫌です」
「嫌じゃなくて、親も心配すんだろ。ずっと帰ってねーみたいだし…」
「心配してるはずないです。どーせ私のことなんか」
珍しく悲観的になる桜音。
それだけじゃなく、寂しそうな泣きそうな顔してる。
「…そんなになるほど何あったの?俺でよかったら聞く」
「私……私がダメな子だからです…。私がダメなんです…」
「桜音はダメな子なんかじゃない。桜音はいい子。な?」
「琥珀くんだけです…私のこと褒めてくれるの。だから……琥珀くんに話します、全部」
「無理しなくていいから」
テレビを消して、桜音の背中に手を回した。
すごく小さな背中で、少し震えてるようにも思った。
無理しなくていいんだよ……桜音は。

