舞踏会の夜に。






「あの誰ですか?」









私が悪びれなく聞くと、相手も悪びれなく答えた。









「この国の第一王子の従兄弟です。」









「ええ!?」









確かに、顔立ちは似てるかもしれない。









「あの、どうして私なんかに声を・・・?」









「なんか、なんて言っちゃいけないよ。自虐的だね、君。名前は?」









「あ、申し遅れました、ルニアと申します。」









「ヤダなあ、そんなにかしこまらなくていいよ。俺、王族って柄じゃないし。」









「リザニア!こんなとこでなにしてんだよ。」









私は、目を、疑った。









「お、王子様!」









「ん?ああ、どーも。」









随分想像とかけ離れた言葉遣いだったけど、そんな細かい事気にしてられない。









私は完全にパニックになっていた。









「おお、イヴ!久しぶりだな。」









「イヴじゃねえ、ここでなにしてんだよ。」









「やあ、イヴの活躍を見にお忍びでね。」









「活躍ってなんだよ、ここはお前のくる場所じゃねえんだ、とっとと帰れ。」









・・・ちょっと、想像とかけ離れすぎてるかも。









「んじゃ、またね〜、愛しのイヴちゃんっ!」









「あとで覚えとけよ!」









私、見ちゃいけないもの見たのかも。










「あ、あの、王子様?」









「あ゛?まだいたのかよ。」









王子様は怠そうに私を見据えた。









「ご、ごめんなさぃ・・・」









「っつうか、お前、今の見たろ?」









見たろ、もなにも目の前でやられちゃ見ないなんて不可能、というか・・・









「ごめんなさい」









「チッ。お前、名前は?」









「あ、ルニア、です。」









「ふーん?ルニア、ねえ。」









王子様は私の名前を聞くと、イタズラそうな笑みを浮かべた。









うあ、カッコいい・・・









「ルニア、今俺様に見惚れてただろ。」









「ご、ごめんなさい」









「それ以外もなんか言えよ。」









王子様はそう言うと、あろう事か私の顎をクイッと持ち上げて、自分の顔を寄せる。









「へえ、お前、いい顔してんな。」









そう、言われた途端に、冷水をかけられたように、目が覚めた。









「離して、下さい。」









そう言うと、王子様を残して、私は家に帰った。