舞踏会の夜に。






コンコンコン









朝陽が差し込む時間帯に、戸を叩く音が聞こえる。








私は昨日椅子に座ったまま寝てしまったため、ドレスのまま着替えていなかった。









私の家に訪問客は珍しい。









誰だろう?









「はーい」









戸を開けた瞬間、自分を呪った。









「よお、昨日ぶりだな。」









「王子様・・・何か御用ですか?」









「いや?ルニアに興味持ってよ。」









「あの、なんで私の家の場所を?」








「あ?お前、自分で有名人だと思ってねえの?」









王子様はズカズカと部屋に上がりこむとさっきまで私が座っていた椅子に座った。









「有名人?私が?」









「ルニア、自覚してねえんだな。」









王子様がフフンと笑って私を見上げた。









「あの、王子様?」









「そのさ、王子様ってやめてくんねえ?俺、王子って柄じゃねえし。」









昨日の従兄弟さんと同じことを言ってる。









「じ、じゃあイヴラリオ様?」









「めんどくせえな、イヴでいーよ。」









そう言って王子様は頭をガリガリと掻いた。









「で、でも、昨日は・・・」









「ルニアはいいっつってんだよ。気づけ。」









「あ、はい。」









「で、あの、有名人って?」









「ルニア、ここら辺じゃ美人って有名だぞ?」









「え!?私、美人じゃないですっ!」









「ま、そうだな。美人じゃない。」









慌てて否定する私に王子様・・・イヴは、賛成した。









「ルニアは美人っていうより、可愛いって感じだな。」









「そ、そんな、滅相もないっ!」










「は?ルニア、なに言ってんの?」










完全に、思考回路がショートした。










「なあ、ルニア。お前、今フリーか?」










「は、はい?」









イヴが照れ臭そうに言うので尚更意図が掴めない。









「だから、ルニア、今日暇か?」









「あ、はい!喜んで!」










「は?意味わかんねえ。」










そういいながらもイヴは立ち上がって私の手を掴んだ。









「あ、あの、イヴ?」









「おら、行くぞ。」










「あの、何処に?」










「城」










「え!?わ、私、こんな格好で・・・」









「大丈夫だから。行くぞ。」










イヴは渋る私を半ば無理やり外へ引きずりだした。