「悪かったって！」


　後ろで謝る快斗に背を向けてすたすたと歩く。
　うん、快斗はかっこいいって言われるけど、可愛いと思う。


「小林、待てってば！」


　あたしはその台詞を言われたと同時に後ろを向き、快斗に指を差す。あ、鼻に指が当たった。少し痛い…


「うわ、びびった…。」

「名前で呼んでくれたら、機嫌直してあげる。」

「はいはい、柚輝。お前、本当に自分の名前好きだな？」

「愚問ね、婆様が考えて下さった名前なんだから当たり前じゃない。」

「今時“愚問”なんて言う高校生居ねぇよ…」


　あたしの言葉に快斗はボソッと呟く。


「なんか言った？」

「何も言ってませんよ、柚輝女王様。」

「て、事は快斗は召使い？」


　快斗の召使い…想像してみるけど、中々似合ってると思う。


「一回着てみたら？召使い風の服。」

「バーカ、着ねぇよ。」