その日の夕食後、美咲は信一郎に、役所の人が立ち会いに来て、来週からあのゴミ置き場が新たに巡回ルートに加えられ、ゴミの収集に来てくれるようになった事を話した。

「来週からだから、それまでのゴミは家の中に置いておくしかないわね。消臭剤とかで臭いを消さないと」

「そもそも、ゴミを減らさないといけないな」

 新聞の朝刊を読みながら、信一郎は相槌を打った。

 信一郎が会社から帰ってきて、その日の朝刊に目を通すのは、いつもの事である。朝に読む時間が足りないから、どうしても中身まで読めていない。だからと言って、情報が古いという理由で、中身を読まずに朝刊を捨てるのは、もったいないと思っているのだ。

 全ては、信一郎の性格に起因している。

「そもそもゴミを減らせるなら、もっと前からやりなさいよ」

 美咲にズバリと言われて、信一郎には返す言葉もない。新聞を立てて、自分の顔を隠した。


「ところで、信ちゃん」

 美咲は自分の分のお茶を入れている。濃いお茶が湯飲みに注がれる。

「……ん?」

「ゴミ当番っていうからには、当番制よね」

「そうだが」

「今はうちしかいない訳だから、信ちゃんと私で当番制ね」

 美咲は両手に抱えていた湯飲みのお茶をすする。

「ええーっ、何でそうなるの」