「おはようございます」

 収集車が美咲の近くに止まった。

 助手席に乗っていた作業員が降りてきて、美咲に挨拶をした。

「確認に来ました真山です。高崎さんですよね?」

 他に運転手を含めて二人の作業員がいた。小走りで真山の後を追い掛けて来ると、ゴミ置き場の広さや隔離しているブロック塀の高さなどの確認を始めた。

「こちらの場所ですか」

 その作業員は、誰が見ても明らかな事を聞く。

「ええ、そうです」

 真山はベージュの作業服を着て、セルロイドで出来た黒縁の眼鏡を付けていた。

 持っていた地図を広げ、真山は美咲に見えるように、赤い点を付けた。

「ゴミ置き場として、こちらの場所で問題は無さそうですね。それにまわりの収集地点とも離れていますし、人がこれから増える新規の分譲地ですので、この場所の追加は可能かと思います」

 非常に回りくどい言い方だった。

「そうですか。ここの家たち、全部売れたそうですよ」

 追加して貰わなくては困るのだ。遠くまで捨てに行かねばならないのなら、生活の支障になる。

「それからですね……」

 真山はルートの修正は来週からになると、美咲に話した。他の車両や人員との連絡期間なのだと説明した。