チラッと以蔵の方を見ると…





あれ?
なんか…様子が変…


まさか!私のせい?!





「い、以蔵…そんなに強く打った?
ごめんね…ほんとにごめんね…」




夢のなかの私は…
おろおろとしながら
言っている。




「べ、別に…
痛い訳ではない…」



何をそんなに赤面になることがあるんだろうか。
しかも
珍しく動揺してる…



「どうしたの?以蔵…顔赤いよ」

「お、おまえ…
無意識かよ…
か、顔が近い…」





えっ!
人斬り以蔵で有名な…
あの岡田 以蔵が…
そんなこと言うの?



「え?
あっ!ご、ごめん…」

「さっきから、謝ってばかりいるぞ。
そんなおまえは好きじゃないな…
ヘラヘラとしてる方がおまえらしい。
それに、おまえがあまりに
熟睡しているのを
俺がのぞきこんでしまったのが
悪かった…
そうだ。本題を忘れていた。
飯の準備が出来たから、
着替えたら来い。」

「う、うん!ありがとう。以蔵」



以蔵は…
また顔を赤く染めた…
こんな岡田 以蔵…
いるんだ…

「勘違いするな。
俺は先生に言われたから
起こしにきただけだ。」

「ふふ。分かってるよ。」



そして、以蔵は
背を向けた。

そのときに…
「やっぱり、おまえは…
笑ってる方がいい。」

そう、聞こえた気がした。