「………。ムカつく……。やっぱアンタ……ムカつくッ!!!!」
羅衣は床へとボールを投げつけて。
渡の背中へと……叫ぶ。
けれども、彼はもう…振り向きなどしない。
「だったら最初から…近づいて来ないでよ……!バカぁ…………。」
虚しく響く声も。
届かないなら…意味など持たない。
最初から、相容れない相手だった。
そんなことは…わかっていたはずだった。
だけど。
感情を揺さぶるのは……
いつも……渡の存在。
それだけだった。
タカハシの言うように、自分に自信をつけたって結果は…変わらないのかもしれない。
戦いの舞台にも上がらせてもらえない。
戦わずして負けの決まった、
そんな………
はかない恋だった。


