「自信…、ないんだ?」
「………。そう…かもしれない。」
「あいつもわかりづらいからなぁ……。気持ち…、知りたいと思わない?」
「ううん。」
怖いから……
知らない方がマシだ。
「…じゃあ自信をつけるのが先だな。」
「え。」
「バスケもだけど、一ノ瀬はもっと自信持っていいと思うよ。あいつが何考えてんのかはわからないけど、めんどくさいことには手を出さないから…、少なくともそうではないんだろうし。だったらさ、もっともっと自信をつけて、自分に納得できるようになったら…気持ちをぶつければいい。気負わずに…、さ。」
「……自分に…納得…?」
「ん。戦いの舞台に立てるくらいの。さっき言ったけど、俺も身長のコンプレックスでだいぶ思い悩んだよ。だけど今は…自信を持ってる。キープし続けるのは難しいから…、ほら、こーやって毎日練習してるワケ。戦いの舞台に上がれるかはわかんないけどなー。」
タカハシはそう言って。
一瞬のうちに……
ゴール下へと潜り込む。
器用なまでに、ひょいっとボールを投げ入れて……。
決まったゴールに、「よっしゃ」と小さくガッツポーズを決めた。
この人が輝いて見えるのは、
そこに……積み重ねた努力があるから。
羅衣の中で眠っていた闘争心を…呼び覚ましていく。
いとも簡単に…引き上げていく。
「………ありがとう。」
「………おう。」
怖いからと理由をつけて、
努力もせぬまま…諦めるところだった。
逃げ道を作るのは……簡単。
退路を絶って、前を向くことは…勇気がいるけれど。
それでも………
戦うことは……嫌いじゃない。
考えてみれば。
自分を繕う為に…自分との戦いを繰り返してきた。
今度は…なりたい自分になる為に、
もう一度…立ち上がれる。


