「そうですか?体操をするには大きいくらいです。」
「………。そういや演技してると大きく見えるけど…実際ちっちゃい人が多いか。」
「小さい頃からしてる人が多いですから…。私みたいに高校から始める人ってあまりいないんじゃないかな。」
「…え!アレで高校から?!」
「……?はい。」
「や。いつも見てるけどさ…、すごいなって思ってた。そっか……、才能だなあ…。」
「ウチは弱小部なので…県大会まで行くとボロボロです。毎年ビリ争いの一角を担ってるくらい。」
「ははっ…、そんなん担うなよー。」
「その点…、タカハシくんは凄いですね。バスケ部って県でも強豪でしょ?たびたび全国にも行ってるし……。そこでレギュラー争いしてるんだもん。タカハシくんこそ…才能、じゃないですか?」
「…………。俺らってもしや逆コンプレックス?てか、励まし合いになってるし!」
「……あ。本当だ。」
「でも…、何でバスケ?」
「クラスマッチでバスケになっちゃって。…すごい……苦手なんです。」
「………。…朝なら誰もいないし…、俺、相手しよっか?」
「え……?い、いえいえ悪いしいいです。」
「ちびっ子にはちびっ子なりの突破口があるんだよね。俺なら…そこんとこ上手く教えられるかも。」
「……でも……」
「あ。渡に遠慮してる?」
「いや!それは断じてありません!」
「………。なら、いいんじゃん?相手がいないと練習しづらいだろうし、俺も気合い入るし。……どう?」
「…………。…お願いしても…いいですか?」
「よし、そーこなくっちゃ。」
屈託ない笑顔を見せつけるタカハシに……
羅衣は少しだけ…ホッとしていた。
渡といると、緊張の連続で。
少しだけ……
疲れていたのかもしれない。
その点タカハシは、
やわらかい空気で…癒しを与えるような明るい性格。
渡に近い人だからか、それとも…彼の人柄のせいかはわからないけれど。
警戒心は……薄れていく。


