二人の部活が終わってから、と……、
バスケ指導の約束をとりつけて。
羅衣と渡は……別れた。
「………。大丈夫……、だよね。」
彼女はトントン、とならして。
昨日痛めた足を…確認する。
まだ腫れはあるものの…
昨日ほどではない。
「……………。…スパルタ…なんだろうなぁ……。」
頭の中でガミガミと雷を落とす渡を想像しながら……
羅衣はふふっと笑った。
「………一ノ瀬羅衣ちゃん?」
「え?」
ニヤついた顔のまま…、
羅衣はその声のする方へと…振り返る。
「……?あの……?」
知らない美少女が……
彼女をじっと…見つめていた。
「…ふ~ん。顔は、まあまあね。」
「……は?」
「…でも……、イロイロと残念。」
「…………?」
「…ガニ股。…ふくらはぎと二の腕な随分立派な割には…胸が乏しいかな。」
上から下まで舐めるようにして観察するその女に……。
「…ちょっと…、何なんですか、あなた!」
ついには羅衣も…キレる。
「…短気なのね。」
『そっちが失礼なこと言うからでしょう?!』…と、心の中で言ってみる。
なぜ言い返せないのかと問われれば。
その女が…いかに自分が持っていないものを持っているか、というところ。
華奢な体型。
人形のように愛らしい顔立ち。
出るところはちゃあんと出ていて、
逆にでなくてもいいところは出ていない。
「……………。」
悔しい限りではあるが、
全くもって………
反撃要素が…ない!!
「………あの…、アナタは?」
すっかり縮こまって…思いきって聞いてみる。
「…私?1組の…田之倉絵美。」
「………はあ…。で、何かご用でしょうか?」
「…今蒼生と…何話してたの?」
「……?『あおい』?」
「惚けないで。渡蒼生と…今話してたでしょ。」
「ああ、ワタリのこと…。」
とかとかと…、心臓が、脈を打った。
「………。あのさ……」
「……………。」
「……アナタ蒼生とどういう関係なの?」
「……は?…関係?」


