「何で私がコレ好きだって…わかったの?」
「いや、猿並にチョロチョロしてるし、アホ丸出し…」
「ハイハイ、聞いた私がアホでしたよ!どうせ単純サル女ですから!」
羅衣は彼の手からバナナ牛乳を受け取ると……、
「…アンタも律儀なとこあるよね。……ありがと。」
小さく…呟いた。
「しっかし渡蒼生がバナナ牛乳買う姿…、似合わなすぎてウケる……!」
笑いをこらえながらも、ちゅううっとストローでひと口飲んでみる。
「……うま…っ。」
そんな彼女を見て。
渡は…ひと言。
「『うきき。』」
「何か言った?!」
「いや、別に。ただ、確かに猿みたいな『もも〇り』だったな、と。」
「ぎゃ~っ!!掘り返さないで!も~…アンタに見られるだなんて、一生の不覚!」
「そう?俺で良かったんじゃない。」
羅衣の胸が……
ドキリ、と音を立てた。
「アンタをいじるネタになるし。」
「……はぁあ~?!何よソレ、今のトキメキ返して!」
「キモ……。」
「そう思うなら……近づくな、ボケェ~!!」
ばちこ~ん☆……と、渡を吹っ飛ばして。
羅衣はまた……
教室へと戻っていく。
動悸が……早くなっていた。
「なにコレ…、なんなの…ホント。」
一ノ瀬羅衣、
これもまた、初めての…
経験であった。


