考えても……



答えには辿りつかなかった。




「………。降参っ。そろそろ…見せてよ。」



「……ハイ。」




渡は満足したのか……、アッサリとそれを手渡した。





「…………。」




文章のひとつひとつに、答えを探すけれど……




「………限度かな。」



諦めて……、アンサーページを開く。















推理小説には、書かれて当然と思われる事実を…


わざと記述されないこともある。




ないものを探すことは……



そう、読む側の推理力が…試されるのだ。








「………あ。」




目撃者…、スティーブンの証言に。


マイケルが『古本屋』に行ったという記述が……。



おまけに、マイケルの死亡推定時刻も、トーマスが出掛けたという時間帯すら…書かれていない。




アンサーには、先生の推理が…書かれていた。





マイケルがその日古本屋で買ったのは…、実は死後も握り締めていた小説であった。

寮に帰ってきてから…、つまりは、殺害をされる直前に、マイケルは初めてその本を読んだことになる。


トーマスはまさか買ったばかりの物だとは思ってはおらず、今朝自分がいた時のマイケルの姿をありのままに証言したつもりだったが、




事件発生時刻には出掛けていたはずだから…その新しい小説の存在を知るはずはない。



つまり。
知っていたということは…。マイケルが読んでいたのを…その場から見ていたことになる。


犯人意外に…わかり得ないのだ!!





















「………。なるほど…。そう来たか。」




羅衣は納得した様子で…うんうんと頷く。





もちろん…、


二段ベッドから見ていたことも、


青酸カリによる現象にも触れてあって。






解けなかったというのに……




彼女は達成感に溢れた顔をしている。








「………。ねえ。」



「…ん~?」



「ところでアンタは何でそっちの道から来たの?いつもあっちから来るじゃない。」




そう、彼女が気づかぬうちに背後へと回りこんで、更に…小説を覗き込むなどは…不可能に近い。



彼の登校ルートを、いつもよりも…注視していたはずなのだ。





「………。それは……」




「……ん?」