「………アホらし…。」
気を張っていた羅衣も…
さすがに、肩の力が抜けた。
「…ホント、どーでもいい気がしてきたわ。」
「…は?何が…?」
大人びた顔つきして。
クールな雰囲気ばかり醸し出すイケメン王子の素性がこれじゃあ……
まさに、何を言っても無駄である。
恐らく言った所で。
彼が思うままのことを…返されてしまうだけであろう。
「………。ちょっと待って。私の推理を…言っていい?」
「どうぞ。」
「マイケルは…即死だったんだよね。」
「なんだ、小説の話?」
「………。アンタがさっきからそればっか気にするからでしょ~?!」
「…うるさい。そしてウザい。」
「………。もうどうとでも言えっ。……で、青酸カリを飲んだんだよね…?そしたらさ、筋肉が緩むハズだし、即死なんだから……本を握り締めて死んでたって有り得なくない?後から…誰かが握らせた。だから…自殺じゃなくて…、他殺。」
「…………。」
「ついでに…、アンタが言った通り、彼は壁に背を向けるようにして…座っていた。つまりは、他人からは、本の表紙や背表紙は見えても…中身までは見えないはず。題名だけで、ミステリーだとは判断つかない可能性も。」
「…………。」
「彼の死後に中を見たのか…?でも、わざわざ不利になる発言をするとも考え難い。」
「…………。」
「あくまでも、生前見たマイケルの姿を…言ったつもりだった。」
「……………。…で?確証はどこに…?」
「……………。わからない。だから…もう一回読ませて?」
「…俺はわかったけど?」
「答え見てからそんなん言われても信用ならないっ。」
「あ?その前に言っただろ。」
「…………?」
「『上から見下ろすと、例え壁に背を向けてても…見える』。」
「…………。……あ…!!二段ベッド……!」
「……それ。」
「上から見たから…、彼が何を読んでいたのがわかったんだ!ん~…、でもそのくらいで決めつけるのもなぁ……。」


