「………面倒くさい。どうでも良くない？噂とか。」
「な、なな…ぬわにを～？！」
「…でっち上げだし、時間が立てば本当のことわかるだろ。放っておけばいい。」
「………。アンタが良くても私は……！」
「あ。…迷惑……？」
「…………！！」
「……そんなに、迷惑……？」
なんて……ことでしょう。
イケメン王子、渡は……
まるで仔犬の如く。
涼しげな瞳を…キラキラとさせている。
「…………。って……、今更騙されるか～ボケぇ～！！」
なんとか…理性の勝利。
「………。やっばアンタには通用しないか。」
「…アンタねえ、何考えて………」
「人に。……指図されんの好きじゃない。」
「……は？」
「ついでに釣りのことなんて考えてなかったし、言われるまで気づかなかった。やりたいようにしてるだけ。」
「……エ。」
「だから…、答え言っていい？」
「……ノンノン、ストーップ！！」
羅衣はぶんぶんと首を振りながら……
何とか頭の中を整理しようとする。
つまりは……、渡 蒼生という男は……。
特に何か考えている訳ではなく、
あくまでも……
我が道を進むタイプ。
やんわりと言ってしまえば……
究極の、
マイペース！！！
そう考えれば、つじつまも合う。
女を振るのはただ本当にめんどくさいだけで、
だからこそ……
また普通に接することもできる。
お金を貸してくれたことも…損得とか関係ナシで。
ましてや羅衣に構うのも、単なる気まぐれ。
偶然が幾重にも重なっているくらいで……
噂なんて気にならない。
見てごらん、今の顔を。
答えを言いたくて仕方ないって顔してる……。
