「羅衣~、めちゃくちゃカッコ良かったっ♪」
クラスメイトの中へと戻っていくと…
羅衣は女子達に囲まれて、称賛の声を浴びせられる。
『………。言えない。言えないわ、ホントは超弱小部だなんて……。』
彼女は少し複雑な思いで…
笑顔を振る舞っていた。
しばらくすると……
「きゃぁあ~!」…と、黄色い歓声が上がる。
一気に生徒達の注目を奪っていったのは……、
男子バスケ部。
バスケットゴールのボードにボールを当てて、走りこんできた部員たちが流れるかのようにして…次々と跳ね返ってきたボールを同じように放り投げる。
ボールはその場を行ったり来たりしながら…
落ちることなく、宙をさ迷っていた。
軽く走ってきたある生徒が……
ふわり、と高く舞い上がって。
最後に……
「ガコン!」とダイナミックに…シュートを決め込む。
大きな音と共に。
ゴールが…ギシギシと揺れていた。
転がったボールを片手でひょいっと拾い上げて、
顔を上げたその人物は……。
「………!!!!」
渡…蒼生。
さっきとは比べものにならないくらいの歓声にかき消されながらも…
羅衣は民子に問う。
「あの男、バスケ部だったんだ?」
「…え?聞こえない。…なに~?」
「渡…!あの人、バスケ部なんだね!!!」
「えっ…、今更?!2年間同じ空間で部活してたじゃない!!」
「……そうだけど…、いや、確かに上手いのがいるって思ってたけど……」
「どれだけ男に興味ないのよ……。」
「………だよね…。」
羅衣は……、ボールをまるで支配するかのように、鮮やかなプレーを見せつける渡を……じっと見つめていた。
「………フーン…。」
普段のクールな顔とは裏腹。
チームメイト達と楽しそうに、
ただ…遊んでいるかのように、無邪気に笑い合う姿に……
不覚にも。
目を…奪われていたのだった。


