…が、
『…あれ?』
肝心な所で…
ワタリは自分の後ろに座っている男子と談笑していて、全くもって羅衣の姿など…見てはいなかった。
「…むむっ……。」
さっきのは…勘違いであったのだろうか?
更にうっかりしたことに……
何故か彼の隣りいる友人らしき男と…目が合ってしまった!
テンパる羅衣に気づいてか……
その男は、今一度彼女に拍手をおくる。
『なんて…いい人なんだろう。』
羅衣は顔を真っ赤にして、思わず…俯いた。
生徒会の男子からマイクを手渡されると……
「器械体操部です!部員…全員集合!!」
部員達を…呼び込む。
十字になったマットの上で、一人ずつタイミングをずらし交差させながら……
技を繰り広げていく。
「私たち体操部は全員初心者で…、身体も死ぬ程硬かったのですが、今はこんなことまでできるようになりました。ですから、初心者…大歓迎です!」
それから……。
皆一列になって。
「来たれ…!女子体操部!」
深々と…頭を下げた。


