騙し騙され、
振り振られ………。
捕え、捕われ……?
ノンストップな駆け引きは……
一体どこがゴールなのか?
二人の恋は……
まだ、始まったばかり。
ガラっ……!
「一ノ瀬羅衣、いる?」
「………!……げ。」
そして、早速……
「バナナ牛乳、買って来た。」
羅衣のクラスへと訪れた、マイペース王子。
「…………。」
「そこのお猿さん、アンタだってば。」
「……あのねぇ……!」
羅衣の反撃を待たずして、彼女の口へと…ストローが入れられる。
「…………。」
ごくりとひと口、つい飲んでしまうと……。
渡はそれを奪って、ちゅうう~……と、飲み始めた。
「…なんだ、結構旨いじゃん。」
「……………!!!」
女子がキャーキャーと…騒ぎ立てる。
「アンタは……、少しは学習しろ~っ!!!」
もちろん、ばちこ~んと渡を張り倒したものの………。
後の祭………。
クラス中の視線が…、二人に集まっていた。
「えっと……、これは…ですね。」
慌てて弁解しようとすると……。
「羅衣、往生際悪いよ?」
民子が…口を挟む。
「……そこの王子、もっと派手にやっちまえ。」
「た、たみちゃん…?」
恋愛マスター、民子の煽りは……
効果てきめん。
「一ノ瀬…、ちょっと…。」
「……。何よ。」
渡の手招きに、つい耳を貸すと………。
ちゅうう…っ。
公衆の面前で………
耳元に、熱く……キス!!
「………!!ヘンタ~イッッ!!!」


