「うそうそ、ごめん、ワタリ…。」
さっさと行こうとする渡を…
羅衣は小走りで追い掛けていく。
じわじわと…
太陽が二人を照りつけて。
どちらともなく繋がれた手が……じわりと熱を帯びていた。
その、渡の腕には…、新しいリストバンド。
「ワタリ……、それ。」
「誰かさんがまさかこんなプレゼントまでくれるとは思わなかった。おかげで昨日泣きそうになったよ。」
「………。はいはい、ただのお礼に泣かれても困るし。てか…、ちょっ…、指、絡めないでよ。」
「何で。」
「暑い。」
「………。じゃー…、ますます離さない。」
「何でそうなる!」
「夏の暑さ、好きだし。一ノ瀬は…もっと好きだし?」
「…………!!」
「…なーんて、ね。」
ぎゅっぎゅっと2回。
渡は手に力を込めて…。
「……大丈夫。誰にも、文句…言わせない。」
そんなことを言ってのけるから。
羅衣の顔は……
みるみると赤くなっていく。
「……この…ペテン師め。もう騙されないもん。」
「はいはい、言ってろ。」


