「…………。……うう…、どうしよう……。」
渡と思いが通じ合って。浮かれる気持ちとは…裏腹に。
登校する羅衣の足取りは……重たかった。
第一に、昨日とってしまった大胆な行動に…。今更ながら、恥ずかしくなってきたから。
第二に……。
昨日の今日で。渡とどんな風に顔を合わせたら良いかが…わからなかったから。
そして……、何よりも。
少しだけ…怖かった。
渡をとり囲む女子の目。
羅衣をどんな風に見て、どう思われるのかが……
怖かった。
「……はあ……。」
ため息をついて、とぼとぼと歩いていると。
~♪♪………
♪♪♪♪~♪♪~………
携帯が……
鳴り始める。
画面には、『高梁』の名前。
「………。……もしもーし、高梁くん?」
『………。お前なあ…、朝から喧嘩売ってる?』
「なんだ、ワタリか。」
『…はあ?』
「どうしたの、朝から……。」
『………。いや…、なんか元気ないなって思って。』
「え…?何それ?すごい元気だけど。」
『それが元気っつー顔か?』
「………ハ?」
羅衣は携帯を耳から離して……
キョロキョロと、辺りを見渡す。
『……馬鹿。後ろ!』
「………?!」
くるり、と後ろへと振り返ると……。
電柱の陰から、ひょっこりと……姿を現した。
『相変わらず、洞察力ないな。アッサリ通り過ぎるし。』
「………ワタリ……。」
彼は、小走りで…羅衣の元へと駆け寄る。
「…なんで…?ワタリんち、反対方向じゃん。」
「それ、前のアンタにも言ってやりたい。」
「………!」
「一緒に学校に行きたいって思ったから…待ってた。ついでに、きっとアンタのことだから…余計な不安とか抱えこみそーだと思ったし。」
「…………。アンタの洞察力、すごいね。探偵にでもなるの?」
「…………。」
「ペテン師ならなれそうだね。」
「……………。うるさい。やっぱ先行くわ。」


