羅衣は顔を真っ赤にして……、
視線をそらす。
「言えばいいじゃん。そしたら…俺もちゃんと言うよ、……本音。」
「……ずるい……。」
「ん。こうでもしないと…アンタからは言いそうにないし。」
「私、馬鹿みたいじゃない。」
「………。」
「馬鹿だから、勘違いしてるかもしれない。」
「してもいいと…思うけど。」
「「………………。」」
「ワタリ……、アンタが…好き。」
「………うん。………俺は…、多分、もっと好き。」
タオルに覆われたその中で。
渡の唇が……羅衣の唇を奪っていた。
二人きりの空間。
絡み合う……吐息。
「………。風邪移したら…、ごめん。」
タオルは二人の足元へと滑り落ち……、
渡の大きな手が、羅衣の頭を…引き寄せる。
「……解放してくれるんじゃなかったの?」
真っ赤な目を…渡へと向けて。
羅衣が…問い掛ける。
「………。嘘に決まってるじゃん。」
「………!」
「馬鹿だな、まーた引っ掛かってるし。」
「……最低……。」
「なら……、逃げれば?」
「………無理。」
「何で?」
「やっと…アンタを捕まえたから。」
「………。……お互い様…、か。」
羅衣は顔を見上げて…、そっと瞳を閉じる。
「………。あーあ、捕まっちゃった。」
渡は愛おしそうに彼女を見つめ…、瞼にそっとキスを落とす。
それから、チュッと音を立てて……唇に…触れる。
ギュッと抱き合って、すぐさま体を離すと……。
今度は渡が目を閉じて、
形の良い唇の端を…キュッと上げて…微笑んだ。
羅衣は背伸びして、渡の顔へと……近づいていく。
あと、数センチ……。
髪の毛が触れ合ったその瞬間に……
「……きゃっ…!」
渡は…パッチリと目を開けた。
「さ…、最低っ!」
「口がタコみたいになってて可愛いじゃん。」
「………!ひど…!仕方ないじゃない、こんなの、初めてだし……。」
「え。……マジで?」
「………。あ~……、も~………。」


