体育館には、用具を準備する体操部員の姿が…あった。
ひと通り準備を終えた辺りで、顧問の後藤が…
のんびりと、そこへとやって来た。
「集合です!」
ハイッ…と声を上げて。
部員達が…後藤の前に並ぶ。
そこに。
羅衣の姿は……
ない。
「………。あれ?一ノ瀬は?」
後藤が…首を傾げる。
「風邪こじらせて、早退しました。」
マキが、答える。
「…そういや最近…、調子悪そうだったな。」
「…そうですね。早く治ればいいけど……。」
マキはそう言って。
反対側のコートを…ちらりと見た。
バスケ部の部員たちは、同じように監督を囲むように並んで……、
何やら、ミーティングを始めていた。
その中には、真剣な面持ちで話を聞く、高梁の姿も…あった。
「……あれ?監督…来てるじゃん?」
マキは首を傾げて……、それから、
『……がんばれ…、羅衣。』
心の中で、そう…小さく呟いていた。


