羅衣は意を決して。
部活の後に、お礼も兼ねて渡に話し掛けてみようと思ったけれど……。
この日、めずらしく…
バスケ部に渡の姿は…なかった。
彼女の鞄の中には。
洗濯をしてふわっふわになった渡のタオルが入ったまま……。
見事な…空回り。
「……へ……、へ…ックシ!!」
ここでもまた…、くしゃみは止まらず。
「……?羅衣、風邪~?」
羅衣の真後ろで柔軟をしていたマキもさすがに気になり…、尋ねてくる。
「うん、多分?」
ちらり、とバスケ部に目をやる。
「……もしかして……?」
不在の背番号…、8。
体育館の熱が、少しだけ…足りない気がした。


