「…え、スタメン?!やったじゃん、おめでと~!」
「ありがと~!!」
肩を並べて歩きながら…、羅衣と高梁は、パチンと手を合わせた。
「スタメンとベンチを行ったり来たり……。でも、最後の最後に…ようやくハナ咲いたっ!」
「よかったね、ホント。高梁くん人一倍頑張ってたし!」
「いやいや、俺に限ったことじゃねーよ?ワタ……、……いや、何でもない。」
「………?ねえ、他のスタメンは?」
「お、おう。宮前と、鈴木と、清野と、………………………。」
「………『ワタリ』ね。」
「はい、そうです。」
「あのね、高梁くん……普通に名前出して貰って全然構わないからね?」
「………うん。でも、なんとなく敢えて出すのも…気が引ける。折角俺が一緒にいるのに邪魔された気分になるじゃん?」
「………。そういうもん?」
「そういうもんなの!」
あれから。
高梁は時々…、羅衣を誘って帰るようになった。
二人の会話の中では……
渡の名前は、どうやらタブーらしく。
少々…気を遣っている。
特に高梁は…その名には、敏感だ。


