渡が居なくなった途端に、急に……胸が痛くなった。





渡の言っていることは、全くもってちぐはぐで……


どれが本心なのかが、解らない。




だけど、羅衣に触れる時は……



信じられないくらいに、優しく触れる。




真っ向からぶつかってきた高梁と……、



……囁かな温もりを残していった渡。







『引っ掛かればいーのに。』






渡が残した言葉が……、





何度も、何度も……



羅衣に問い掛けるのだった。







自分は彼の甘い罠に、



引っ掛かかってみたいのだろうか、と…。