前後半に分かれていた試合も、後半残りあと僅か……。
羅衣の活躍もあり、試合は彼女のクラスが4ゴール差でリードしていた。
羅衣自身にもゆとりがあるのか……
敵チームの動きが、よく見えるようになっていた。
高梁のおかげであると……
しみじみ、思っていた矢先。
仲間が放ったシュートが、ゴールの縁に当たり…高く弾かれたそのタイミングに。
「……リバウンドを制する者は……!」
バスケ漫画の名言を語りつつ……、
ゴール下でジャンプする。
「…試合を制………」
ガッチリとボールを掴んで、
いざ、着地……
と思いきや………。
下にいた女子の足をふんずけて、バランスを崩した羅衣は……
その場にひっくり返る。
「……いったぁ……。ごめんね、大丈夫だった?」
相手の女子に謝りつつ、自身も起き上がろうとした時だった。
ズキン…と…
踝の辺りに、重い痛みが走った。
「……イテ……。」
ーさっき……、捻ったから……?ー
なかなか立ち上がらない羅衣の姿を見て、相手の子が「大丈夫?」と、手を差し延べてくる。
「………。あー…、うん、全然っ。問題ナシ!」
その手を握って起き上がるけれど。
足をついた途端に…
また、痛みが走った。
試合はそのまま……続行。
多少の痛みなら堪えられると………羅衣は過信して、再び走り出した。
パスを受け取り、ドリブルしてゴール下までボールを運ぶと……。
シュートを放とうとした瞬間に、思い切りファウルを貰う。
いとも簡単に……、彼女は、また倒れてしまった。
「………羅衣……?」
彼女の様子にいち早く気づいたのは…民子。
それから、高梁もまた……
彼女の動きに、違和感を覚える。
民子はタイムを要請しようと思ったが、コートではフリースローの隊形が既に完成されていて……。
羅衣が、シュートを放とうとしていた。


