気まずさ故に、羅衣は…目を伏せる。
「一ノ瀬さんも…応援に来てたんだ~?」
「……うん、まあ…。」
「誰の応援に来たの~?」
「星川くん。クラスメイトだし。」
強調するかのように…、ハッキリと言い切る。
「………。ふぅ~ん…?そうなんだ…?あ、ねえ…、ちょっと話したいことあるんだけど…時間あるかな。」
「ワタリのことなら…もう関係ないって言ったはずだけど。」
「違うよ、蒼生のことはいいんだけどさあ…。」
「………。じゃあ…、何?」
「最近、高梁くんと仲良くしてたじゃない?彼のことで…気になることがあって。」
「悪いけど……、次、バスケ出番なんだよね。それに…高梁くんのことをあなたが気にする意味が解らない。そういうの…、やめて欲しい。」
「………!一ノ瀬さんには…関係ある話だと思うけど。」
「……え?」
不意に……
羅衣が顔を上げた時だった。
「あッ!!!」
コートの中から……
大きな声。
「…………?」
羅衣も、絵美も……
その声のする方へと……
振り返る。
「……蒼生………?」
渡が、真っ直ぐに……
こちらを…睨みつけている。
「……すみません、サーブ俺かと勘違いしていちゃもんつけるとこでした。そっちでOKです。」
渡は審判をする教師へとそう断って……、
再び、試合を再開させた。
「…………。」
偶然なのか、絶妙なタイミング……。
「……ごめん、もう行くから。」
羅衣は見逃すはずもなく……、
さっさと絵美の元から逃げ去る。
「……今の……何…?」
それでも、気になって…仕方なかった。
自分達を睨みつけていた、鋭い…眼光。
何か意味があったのではないかと…思わずにはいられなかった。


