「………何か……あったの?」
「……………。誤解……、されたの。ある友達が羅衣にずっと相談してて、羅衣は…アドバイスしたり、協力しようとしてた。だけど、その相手の男の人が…羅衣に告ってきて。それが…ばれた。仲いい子だったけど、そこからどんどん誤解が膨らんで、こじれたまま修復できなくなって……。だから…、結構酷い振り方をしたらしくて……。そこから…、女の子達が羅衣に対して冷たくなった。逆に言うと…、羅衣自身も、男の人と関わることを…避けるようになった。男好きだの変な噂はたてられるし、羅衣だって別にモテたくてモテてた訳じゃないのにね。だから…、一種の自己防衛?な~んかどんどんガサツになるし、無意識なんだか、何だか……。それが、渡くんと出会って…少し和らいだ。嫌悪していたのに、渡くんとは…違った。それが、また……。」
「……………。ごめん。」
「私に謝らないでよ、謝るなら……、羅衣に謝って。」
「………今さら…、だろ。」
「…………。」
「……俺のことはいい。それよりも…、もう、あの人を傷つけることは…したくない。」
「…………。ねえ…、何か…あるの?」
「…田之倉絵美って…、知ってる?」
「…………!うん…、渡くんの…元カノ…。」
「………。あいつを…傷つけるかもしれない。」
「え……?」
「さっき言った通り…、俺は、絵美を…好きにはなれなかった。離れていったのはあの人の方だけど、昔も、今も…彼女を傷つけたことには違いない。」
「…………。」
「全部…ばらす気なんだと思う。」
「……全部?」
「告白してきた人の顔を覚えてるかって……、聞いただろ?」
「うん……。」
「それ、一ノ瀬は…どうだと思う?」
「…………。…どうだろう………。」
「じゃあさ、さっき中村が言ってた…、一ノ瀬の友達が好きだった奴……、どんな奴か覚えてる?」
「…………?確か…、違うクラスの人で、目立つような感じではなかったような……」
「…そいつ、何部だった?」
「そこまでは………。」
「………。中村に認識ないなら…、あいつにしたらもっとそうなるか。」
「…………?ねえ…、その人が今関係なんて…。」
「……ある。めちゃくちゃ……ある。」


