「日焼けするじゃん……。早く来いっつーの。」
木陰の下へと移動して…。
再び、待ちぼうけ。
じゃり…、
じゃり……と、石を踏む音に。
民子はふと…、顔を上げる。
「………。愛の告白かと思ったら……。どうやら、そーじゃないみたいね。」
現れたのは、渡……。
「…貴方が私に用だなんて、有り得なくない?だいたいねえ、どのツラさげて会いに来たってのよ。」
「……悪い。」
「………。…で?何かなあ?わざわざ呼び出してまで……。」
「…頼みたいことがある。」
「…ハ?ちょっと待って。一体何の義理があってそんなこと……」
「…アンタなら、色々と…わかるんじゃないかとおもって。」
「…………?」
「一ノ瀬のこと。」
「…………。ちょっと待って。貴方…、羅衣に酷いことしたよね。なのにどうして今更、羅衣のこと……」
…と、民子はそこまで言いかけて。言葉を…飲み込んだ。
それは…、渡の顔つきが、余りにも…真剣だったから。
「話によっては…、貴方をぶっ飛ばしてやりたいとこだけど。」
「……。それでもいいから、とりあえず…聞いて。」
「…………。」
民子は黙ったまま…、
草の上へと、座り込んだ。
渡もまた…、その隣りへと、腰を下ろす。
「「……………。」」
気まずい沈黙を先に破ったのは…、渡だった。
「中村は、自分に告白してきた相手って…覚えてる?」
「……は…?」
予想外の質問だったのであろう。民子は…顔を歪める。
「……自分はどうなのよ。」
「俺は、覚えてる。例えば、アンタとか……」
「言わんでいい!振られた黒歴史をぶり返すのはヤメテ。」
「……だよな…。」
「………??話が見えないけど…?」
「……。人によって違うのかなって思って。」
「…私は…、覚えてるよ。」
「…うん。そっか……。」
「「……………。」」


