部活終わり……、
先に部活を終えた羅衣達体操部は、後藤を囲んで…ワイワイと体育館を出た。
「ごっつぁんはいつ彼女さんとデートしてんの?」
「平日こんな時間まで部活だし…やっぱ日曜とか?」
「…お前ら…うるさーい。」
後藤は彼女らの恋愛話への食いつきぶりに…たじたじである。
「でもごっつぁん帰り際めっちゃ早いよね!」
「もしかして待ち合わせしてるんだ?それとも…家で待ってるとか?!」
キャーキャー騒ぎ立てながら、ずんずん廊下を歩いていくと。
「一ノ瀬さん。」
突然…、羅衣の名が呼ばれた。
「…体操部終わったんだ?」
「……あ……。」
羅衣の笑顔が…引き攣る。
なにせ、そのお相手は……
田之倉絵美…なのであるから。
部員達は気にしながらも…、お疲れ様、と挨拶して、先を歩いて行った。
絵美が、残された羅衣とマキの元へと…近づいてくる。
「ね、バスケ部もう終わったかなあ?」
「……片付けしてたし、そろそろなんじゃないかな。」
余裕の顔つきの絵美に対し…、羅衣は浮かない顔。
マキは二人の対面に…はらはらしながらも、動向を見守る。
「…毎日こんなに近くで…練習してたんだね。」
「…練習場所は限られてるから…。」
「……きっと同じフロアからだと…顔がよく見えるよね。」
「……さあ…。」
「上からだとさ、表情がよくわかんなくて…。いーな、羨ましい。」
「……………。」
「……ねえ、一ノ瀬サン。忘れてないよね…?約束。」
「………?え、羅衣、約束って…?」
これにはマキも驚いて…、羅衣と絵美との顔を、交互に…見比べた。
「……忘れてない。けど、そんな約束…無意味だと思うけど。」
「……え…?」
「言ったでしょ?あの人は私をそーゆー風には見ていないって。安心していいよ。本人にも、そう…言われたし。」
「………。蒼生が…?」
「うん。」
「……。へぇ…、そっか。そう…なんだ。」
「だから…、もうお構いなく。」
「……………。」


