「楓くんが失恋して、どっかで喜んでいる自分がいたの。最低だよね。でも、自分でもどうしようもないくらいに好きが止まらないの。言わないと後悔するって、そう思ったの」
後悔。
まるで自分に投げられたかのような言葉だ。
「イチゴちゃんの気持ちは嬉しいけど、僕は5年も片思いをしてて、結局、気持ちを伝えれなかった。この後悔が癒えて、次のステップに進むまでいつになるか見当もつかないんだ」
「そっか・・・」
イチゴちゃんは諦めてくれたみたいだ。
残りのパンケーキに取り掛かっている。
パンケーキを頬張りながら何か思い出したらしく、
「私も楓くんにプレゼントがあったの。ちょっと目瞑ってて」
言われた通りに目を瞑った。
唇に何か触れた感触があり、数秒後にこれがキスなんだと理解した。
イチゴちゃんの唇が離れるとメープルシロップの味が口の中に広がった。
目を開くとイチゴちゃんの笑顔が目の前にあった。
「楓くんが私に振り向いてくれる魔法をかけたの。いつか魔法が効いてくれるといいな」
あまりにも唐突なことだったので呆気に取られた自分がいた。
さっきのって人生初のキスだったんじゃ・・・相手がイチゴちゃんなら、ま、いいかって気分になる。

