「ありがとう、フォーク取ってくる」
席を立とうとしたら、イチゴちゃんがはいっとパンケーキの刺さったフォークを差し出した。
ちょっと照れるけど一口貰った。
めちゃくちゃおいしい!メープルシロップがさくさくの生地に染み込んでるし、苺の酸味との相性も完璧。
我ながら良く出来てる。
「私、楓くんのことが好き」
「え?」
いきなりイチゴちゃんが真面目な顔をしたので驚いた。
「たぶん、ここで初めてパンケーキを食べた日から、楓くんのこと気になってたんだと思う。楓くんと会えたはすごく嬉しくて、楓くんと話てると楽しくて、さよならするのが辛いの。知ってた?楓くんの作ったパンケーキ食べたら今日会った嫌なことも忘れちゃうくらい幸せな気分になるの」
イチゴちゃんは僕をじっと見つめている。
僕はぽかんと口を開けたままだ。・・・女の子に好きだなんて言われたこと人生で1度もなかったし。
「楓くんに好きな人いても構わなかったの。友達でも楓くんと一緒にいれるなら。好きな人が今日会ったあの人なら私、全然適わないし。私って要領悪くて、失敗ばかりだから・・・」
「そんなこと・・・ないよ」
彼女が僕に対する気持ちって、僕が茉雪に思ってた気持ちと同じだ。
隣に居たかったから、好きだって言えなかった。

