「そろそろかなって思って、待ってたんだ」
「ごめんなさい。待ったでしょう?」
ううんと首を振って、行こうかとイチゴちゃんに笑いかけた。
イチゴちゃんは黙って後ろを歩いてくる。
「あの後、大丈夫だった?」
ホームで電車を待っている時に、イチゴちゃんに訊いてみた。
楓くんのおかげでとイチゴちゃんは小さく呟いた。
「・・・私って本当にダメだなぁ・・・」
やたらとカップルの多い電車に乗って、最寄りの駅に着くと寂しいくらいに人気がなかった。
落ち込みが続いているイチゴちゃんがぽつり呟いた。
そんなことないよって励ましてあげられたらいいんだけど、嘘っぽくなりそうな気がして黙っていた。
「楓くんの好きな人って、今日のパーティーで隣にいた人?・・・赤いフレームのメガネの」
唐突に訊かれて、思わず足が止まった。
「やっぱり・・・」
イチゴちゃんの中で確信に変わったみたいだ。
何で解ったんだろう?茉雪のことは言ってなかったのに。
「キレイで頭が切れそうで・・・楓くんの隣にいると絵になるっていうか、お似合いだった」

