山下くんはぽつりと呟きながら、茉雪の乗った車が去って行った方を見ていた。
山下くんはまだ茉雪のこと誤解してるのかな、畑中椿に言われた茉雪の性格を今も信じてるのだろうか?そうであって欲しくない。
親友として願った。
「山下くんは今、幸せ?」
「何、いきなり・・・でも、幸せかな。今付き合ってる彼女、料理が上手でさ、食べすぎでつい、太ってきた」
照れながら答える山下くんは嬉しそうだった。
卒業して、調理師免許を取るために専門学校に行くって聞いてた。
そこで出会った人と上手くいってるんだろう。
何よりだ。
「秋川は?」
「う~ん、幸せといえば幸せだけど、不幸せだといえば不幸せかな?」
「何だそれ?」
「もっと幸せになるために模索中だ」
山下くんは呆れたように笑うと僕の肩をぽんと叩いて、ま、恋愛関係だったら相談に乗るよ。
彼女いないんだろ?と失礼なことを言ってきた。
いないけど・・・
「秋川はさ、回りのこと心配し過ぎ。もっと、いいんだよ、ジコチューでさ」

