「私たちもって誘われたんだけど・・・」
「今度、みんなで集まろうって話てたんだ」
他愛もない話をしながら、茉雪と僕はエレベーターに乗り込んだ。
高校時代の同級生、畑中椿の結婚パーティーは夏にオープンした新しいビルの最上階にあるレストランだった。
受付に荷物を預け、スタッフに案内されて、店内に進む。
トレンチにシャンパンを持ってお客さんに配っているお店のスタッフ。
お団子頭に蝶ネクタイに黒のジャケットを着た見覚えのある後姿。
彼女がくるりと振り向いた瞬間こちらに気付き、あっと口が開いた。
偶然にも結婚パーティーの場所がイチゴちゃんのバイト先だった。
イチゴちゃんに秘密にしていたら、相当驚いたみたいだ。
どっきり作戦成功だ。
僕はにっこりと笑うとイチゴちゃんも照れたように笑いながらお辞儀をした。
「どうしたの?ニヤニヤして」
隣の茉雪が訝しげに僕の顔を覗きこむ。
「赤のドレスってことは戦闘モードってこと?」
恥ずかしくなり、茉雪の着ていたドレスを突っ込んでみる。
クリスマスだからと言い訳する彼女は幸せそうだ。

