僕がメープルシロップの入った缶を渡すと兄は缶きりで缶を開け、出来立てのパンケーキの上にたっぷりとかけた。
「これで出来上がり、味見してごらん」
ホクホクと湯気の上がるパンケーキを頬張る。
兄の言ったとおり、外はさくっと中はふんわりとした食感だった。
以前、作ったものとは比べられないくらいおいしい。
これがプロの味なのか・・・これが作れるようになったらイチゴちゃん喜ぶだろうな。
自分で納得のいく焼き色に仕上がったのは、兄が店用の焼き菓子を全て作り終えた頃だった。
僕の傍らには失敗作のパンケーキが山のように重なり、兄の作業台の上にはマフィンやクッキーやマカロンなど、鮮やかな商品が並んでいる。
焼き上がったクッキーの袋詰めに店内へ向かった兄が厨房に戻って来た。
「楓、友達来てるよ。赤メガネの子」
茉雪か。
そろそろ仲直りしないとな・・・僕、渾身のパンケーキの味見をしてもらうのもいいかもしれない。
「ちょっと待ってて貰って。今、コーヒー淹れるから」
★
(キャンディーショップの店内。お店の店員として働く双子の姉妹は近づいてきたクリスマスのため、店内の飾りつけをしている。
お店の真ん中にはクリスマスツリー。飾りはもちろんキャンディーだ。
スティックや靴下、色とりどりの星の形をしたキャンディーがクリスマスツリーを彩る。
イルミネーションにライトをくるりと巻いたらツリーの完成だ。

