恋するplants



 翌日、午前中の早いうちから、僕らは厨房に立った。


 兄のコック服を借りるとなかなか様になってるから不思議だ。


 作業台の上に薄力粉、砂糖、玉子を始めとした材料が並んでいる。


 うろ覚えで作ったパンケーキの材料には足りないものも多くて、自分も一応はケーキ屋の息子だと思うと、情けなくなってくる。


 「始めだけ、一緒に作ろう。大事なのは焼き加減だから、後は自分でコツを掴むしかないな」


 そう言うを兄は慣れた手つきでボウルに入った材料を泡立て器でかき混ぜ始めた。


 パンケーキの生地を小さめのフライパンに流した。


 表面にふつふつと気泡が出来た所で、生地をひっくり返した。


 こんがりキツネ色に焼けている。


 「ここで、一手間」


 兄はふっと笑うとコンロの火を消して、温めてあったオーブンの中にフライパンごと入れた。


 「こうすることで中はふわっと、外はかりっとしたパンケーキに仕上がるわけさ」


 オーブンを開けると、ふわっと甘い香りが漂った。


 兄はイートイン用のケーキ皿の上に出来上がったパンケーキをもりつけた。


 「メープルシロップは買ってあるんだ」


 「お、カナダ産ね」