「あ、すっごいおいしいです」
「でしょ?」
池見先生は得意そうに笑顔を見せた。
池見先生のオススメ料理をつつきながら、お酒を飲んでいる。
こうやって僕もだんだん大人の階段を上っていくんだなぁと顔を火照らせながら思っていた。
「この間、大丈夫だった?絶叫系苦手だって知らなかったから、無理矢理連れまわしてごめんね」
程よく酔ってきたところで池見先生が遊園地のことを詫びてきた。
「いえ・・・僕の方こそすみません、茉雪と付き合ってるってのは嘘なんです」
え?と池見先生は驚いた顔をした。
そうなの?と答えるも表情は訝しげな顔をしている。
「百合さんって堂々と池見先生が好きってことアピールしてたから、茉雪は萎縮しちゃったんだと思うんですよね」
「何で?」
「何でって、それは池見先生が考えて下さい。不器用なんですよ、茉雪は、そのくせ繊細なんだから」
「確かにアイツは・・・」
池見先生は何かを思い出したように、笑った。
その表情を見たら、百合さんの言っていた意味が解った。
池見先生の携帯が鳴り、ちょっとごめんと外へと出て行った。

