恋するplants



 池見先生がオススメするお酒が飲めるところだって言うから、ホテルの最上階のバーとか隠れ家的な会員制のバーとか想像していたら、サラリーマンのおじさんが会社帰りに寄りそうな居酒屋だった。


 コンクリートむき出しの床に円卓には丸椅子、席から見えるカウンターで店の大将らしき人が焼き鳥を焼いている。


 お客さんで賑わう店内はタバコとご陽気な声で煙くてうるさかった。


 けれど、所帯じみた感じが逆にいい。


 「びっくりしました。池見先生なら僕なんか敷居の高い高級店に連れていかれるのかと・・・」


 「何それ?俺ってどんなイメージなの?」


 威勢のいい店員さんに案内され、テーブルについた。


 「学生の時からよく来てたんだ。安いし、ご飯もおいしいんだ。秋川くん何頼む?」


 手書きのメニュー表からウーロンハイを選んだ。


 そういえば、もう堂々とこういう所でお酒が注文できる歳になったんだと改めて思った。


 

 ★




 グラスを合わせて乾杯すると、池見先生は生ビールのジョッキを片手にぐびっとおいしそうに飲んだ。


 「うまい!」


 鼻の下にヒゲのような泡をつけた池見先生は何かかわいい。


 店員さんがホッケの塩焼きとさつま揚げを運んできた。


 チョイスがオヤジだ・・・