「蓮、髪にゴミがついてる」
百合さんが池見先生の髪を払った。
池見先生は笑顔で答えてた。
突然、左手がぎゅっと握られ、僕はぎょっとした。
茉雪が手を握ってきたのだ。
「何?」
「今日は私の彼氏なんだから、これ位してよ」
茉雪の細くて長い指が僕の左手を握っている。
心臓がばくばくして神経の全てが左手に集中する。
今日は茉雪の彼氏なんだ。
そう言い聞かせて僕は彼女の手を強く握り返した。
★
お化け屋敷から出た所で僕は茉雪と手を繋いだことを後悔した。
茉雪の視線はずっと前を歩く、池見先生と百合さんを見ていた。
百合さんが池見先生に甘える度、僕の手を強く握ってくる。
嫉妬それ以外の何ものでもない。
自分では気付いているのだろうか?いや、気付いてないだろう。

