誕生日に遊園地でデートするんだから、今までの僕からしたら大進歩なのかな。
あくまでも彼氏のふりだけど。
「いいなぁ、羨ましい・・・」
イチゴちゃんが呟いた。
もしかして、まだ失恋の傷が癒えてないのかな?そんな人の前でうかれたりなんかして僕って嫌な奴。
「ごめん、恋愛の話とかまだしたくないよね?」
思わず謝ったら、イチゴちゃんははっと慌てた様子で、違うのそう言う意味じゃないの、今のはと顔の前で両手を振り、否定した。
何のことを言っているのかよくわからなかったけれどそうと頷いた。
「そろそろ、バイトに行く時間だ・・・」
イチゴちゃんの一言でその日の打ち合わせは終了した。
カフェの前でイチゴちゃんと別れると日曜日のための服を買うために歩き出した。
★
12月7日、日曜日、快晴。
澄み切った青空が広がっている。
陽気も心地良く暖かい。
いいデート日和だ。
茉雪と遊園地のある駅前で待ち合わせをした。
池見先生たちは車で来るらしい。
改札口を通る茉雪に軽く手を振る。
赤ブチメガネにポニーテール、いつもの茉雪が僕の前に現われた。

