恋するplants



 人気のない住宅地を歩きながらイチゴちゃんはぽつりと呟いた。


 僕は自分が大学生で演劇サークルに所属していて、脚本を書いていることを店にいるとき話していた。


 「今、書いているのはただ物語を箇条書きに書いているだけで、脚本にはまだおこしてないんだ。昔書いたものだったら構わないけど」


 「ホント?今度見せてね」


 「うん」


 「指きり」


 彼女は小指を出して、悪戯っぽく僕を見た。


 指きりげんまんなんて子供の頃以来だ。


 ちょっと恥ずかしい気もするけど、僕は彼女の細くて小さい小指に自分の小指を絡めた。

 
 2年前に卒業した高校の横を通り、まっすぐ伸びた駅までの一本道を歩いていると、この道を茉雪とどれ位一緒に歩いただろうと思った。


 懐かしくもあり、いとおしくもある。



 (魔女が作ったキャンディを食べた双子のお母さんは子供たちに真実を語った。お父さんが去ってしまった本当の理由。それは双子に とっては辛いことだったけど、お母さんは2人を抱きしめて「愛してる」と呟いて泣いた)


 「愛してる」か・・・茉雪の事を思った。


 彼女に本当の気持ちを伝える日がいつか来るのだろうか。


 意識がトリップして、無口になっていたみたいだ。


 気付くと、駅に着いた所でイチゴちゃんが振り向いた。